笑顔に乾杯

スフィアリーグFINAL、あまりの寒さに売店で温かいお茶を買って戻る際、某フットサルマガジンの関係者からインタビューを受けました。
内容はあなたが芸能人フットサルに惹かれる理由は?といったものです。
少し興奮していたせいもあって上手く伝えられ無かった気もするのですが、これは前から常々考え自問していた事です。


芸能人というのはイメージを売り物にする商売で、特にアイドルはそこら辺での制約ゴトが多くなります。
アップフロントもそれは例外でなく、公に電波や誌面に載る所以外は極力リークが抑えられるのです。


もちろんプライベートとの一線を引くことは諸手をあげて賛成な訳ですが、オフレコ話で盛り上がれそうな部分も出来うる限り公開しないという手段でもって彼女たちのイメージ戦略(神秘性)は保たれてきました。
携帯やブログが広く浸透してきた昨今では真偽はともかく色んな所から色んな情報が漏れ伝わるので厳しく規制する位で丁度いいのかもと思ったりもします。


某巨大掲示板の楽しみなどもそうですが、アイドルを楽しむというのは自分の興味ある女の子の素顔をどれだけ知ることが出来るか、どれだけ掘り下げられるかという部分に集約されると思っています。


芸能人フットサルというのはそんな部分にメスを入れる興行だと思っています。
演じる域を超えて、活動する分野の違う者同士がぶつかり合う事で彼女たちの性格が垣間見えるし、試合以外のふとしたところで彼女たちが見せる行動や表情には新鮮さがあります。
そして何かをきっかけに変わったり、成長していく様を分かり易く追っていくことが出来るのです。


ガッタスアップフロントハロプロ枠から選考され本人の意志を尊重して集ったチームで、大きな括りで言えば一つのユニットな訳ですが普段の活動はバラバラですし、そこにはガチガチのヒエラルキーやルーティンが存在します。
さらに言えば自身で作詞作曲を手がける云々を問わず、5年近くも歌手活動を続けると自分の中の引き出しが無くなってきて頭打ちになると思います。


つまり本業と言われる芸能活動〜彼女たち年長組ハロプロメンバーのメインである歌手活動の方ではもう新鮮さを求めることは不可能に近く、自分はそこにあまり楽しみを見いだせなくなっています。
もちろんライブとなると話は別で、そこにはいつだって新鮮なモノがあるし、何かしらの発見もあります。
ただし予定調和となるセットリストや構成といったものがあるのも事実で、発見出来るのはそれらからずれたり変更を受けたりしたことが中心、さらに言えば共演する仲間は同じ畑で育ったメンバーが大半、好き嫌いは別にしてそこには何かしらの関係が既に築かれて一種の馴れ合いが出来ていると思うのです。


しかし女子フットサルはそこら辺が大きく異なります。
まず試合という名の共演において相手となるチームは全く違う畑のメンバーばかり、そこに予定調和というものは存在しません。
更に言えば自チーム内の関係もコートに出た時点でヒエラルキーの類は無くなりますし、相手がいる為馴れ合いでダラダラやっていると痛い目に遭います。
戦術という名の意志の疎通が厳しく求められ、それがかなりの域まで出来上がっていても相手と組む時点で想定外が重なり、コート上で彼女たちはもがくのです。


練習したことを実戦で発揮できないジレンマの中で彼女たちは涙を見せ、上手くいった時には喜びを爆発させます。
試合中の笑顔がとびきり輝いて見えるのはその笑顔を生み出す過程で彼女たちが受けているプレッシャーが大きいからこそです。
そしてプレッシャーから開放されたあとは、やりきった充実感を持った者ほどとても柔らかく穏やかな笑顔を見せるのです。




年間総合順位発表の中、3位で終わったカレッツァ小島くるみさんはマイクを前にしてありがとうの言葉を繰り返しました。
女子フットサルの興行はまだハロプロなくして成立しないよちよち歩きの段階ですが、彼女はもしかしたら誰よりもそれを背負っていたかもしれません。


彼女はカレッツァのキャプテンであると同時に選抜のキャプテンでもあり、積極的に他チームのメンバーとも交流をはかり大きな枠組みでファミリーの意識を持とうと務めています。
Kindai増刊のインタビューでは、この芸能人フットサルという新しいカテゴリーから多方面で活躍出来る芸能人が生まれることを願い実現したいと語っており、今のスフィアに向けられる心ないバッシングを肌で感じそれに勝負を挑んでいる訳です。


ファイナルで3強の一角としてのプレーを十二分に見せられなかった彼女にはとてつもなく大きな悔しさがあったはずです。
しかし最後に口にした言葉にそれらしき言葉は一切なく、彼女は瞳を潤ませながらただただ感謝を表す言葉を何度も繰り返したのでした。


2位のガッタス吉澤キャプテンはというと相変わらずで、準優勝だけどいいです!みたいな軽いノリ(笑)、1年を経てこのアツい小島vsクールな吉澤のアングルが出来た時点でスフィアは成功だったんじゃないかと思ったほどです。


そしてやはりみうなとあさみに触れない訳にはいきません。
2人は最後の場内一周で本当にとびきりの笑顔を見せてくれました。
サイドライン側のファンに向かって笑顔で応える2人の大きく見開かれたキラキラとした瞳はこの大会で自分が焼き付けた宝物です。


ガッタスとして最後の大会を終えた彼女たちに芸能界を離れても頑張れとすぐさま言えるほど自分は上手く切り替えられません。
女々しいことこの上ないですが、出来ることなら年末の選抜大会でもう一度ガッタス代表としてのプレーを見せてもらいたいというのが今の自分の偽らざる心境です。